脳卒中患者の体力評価における上肢エルゴメーター負荷(AE)の有用性を検討する目的で,片麻痺患者87名と健常者35名を比較した.予備実験では負荷の再現性は高く,片側負荷のVO2maxは両側の約80%に相当し,左右差はなかった.VO2maxは両群で差がないのに対し,心拍酸素係数は片麻痺群で有意に低かった.これは末梢性要因(筋)の関与が大きい最大運動においては健側の訓練効果により差が出にくいのに対し,中枢性要因(心肺系)を反映する最大下運動においては体力の低下をとらえやすいためと思われた.さらに測定が容易な握力から体力を推定しうることが示唆された.AEは片麻痺患者の体力を考慮したリハビリテーションを行ううえで有用と考えられた.