1996 年 33 巻 5 号 p. 301-309
機能的自立度評価法(FIM)を用いて,脳血管障害患者190例の入院・退院時のADL評価を行った.項目別自立度により運動,認知項目の難易度パターンを調べ,Rasch分析により運動,認知項目の合計点別に各項目の点数分布を分析した.運動項目では,難易度パターンは入院・退院時とも同様であり,損傷病巣側,年齢による差もなかった.認知項目では損傷病巣側により差がみられた.痴呆は難易度パターンに影響を与えていた.また,Rasch分析により,運動項目は合計点別に50点未満の介助群から80点台後半の応用歩行自立群までの5つのグループに分けられた.一方,認知項目では症例の一元性に問題があり,Rasch分析以外の解析手法を検討すべきであると思われた.