リハビリテーション医学
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リハビリテーション経過中に発症した正常圧水頭症の治療経験
圧可変式シャントシステムを用いた一症例
村松 光戸田 茂樹松本 正博志村 俊郎寺本 明
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1997 年 34 巻 9 号 p. 605-609

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抄録

正常圧水頭症(NPH)は,脳血管障害(CVA)のリハビリテーション治療経過中しばしばみられ,機能,能力障害のリハ治療による回復を妨げる因子となる.CVAの慢性期に発症したNPHに対し,圧可変式シャントシステムを用いた治療が有益であった症例を報告する.症例は56歳男性で,高血圧性右視床出血による左片麻痺のリハ治療経過中にNPHを合併した.NPHはCT脳槽造影と持続的脊髄ドレナージにより診断した.メドス圧可変式シャントシステムを用い脳室腹腔シャント術を施行後,リハ治療を継続した.最初,シャント機能亢進状態に陥りスリット様脳室と硬膜下浸出液を認めた.しかしシャント圧の適切な調節によりこれらは完全に消失し,NPHの症状は改善,脳出血に伴う機能,能力障害はその後のリハ治療で著明に回復した.メドス圧可変式シャントシステムは簡便で非侵襲的にシャント圧の微調節が可能なため,リハ治療中のNPHの管理に有益である.

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© 社団法人 日本リハビリテーション医学会
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