抄録
本研究では,徒手筋力計を用いた複数動作の最大等尺性筋力の総和における正常人値を求め,臨床における本法の有用性を示すことを目的とした.平均的体格者120名(20~79歳)を正常人調査の対象とした.仰臥位における頸部屈曲,上肢外転,下肢伸展挙上の3項目について測定を行い,男女別,年代別の3項目総和筋力の正常人値を求めた.臨床においては,ミオパシーなどの全身的筋力低下の症例に本法を経時的に行い,総和筋力は病状をよく反映した.徒手筋力計は,取り扱いの簡便さが最大の利点であり,その信頼性についても測定手技の熟練により大きな問題はない.3項目総和筋力は,ミオパシー症例などの臨床評価に有用である.