リハビリテーション医学
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脳卒中患者の心理社会的適応に関する研究
PAIS-SRによる脳損傷の左右差の検討
江端 広樹
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1999 年 36 巻 7 号 p. 467-476

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抄録

Psychosocial Adjustment to Illness Scale-Self Report (PAIS-SR)は,諸疾患に対する心理社会的適応性評価のためにDerogatisらにより開発された自己評価式評価法である.著者はPAIS-SR日本語版を作成し,脳卒中患者を対象に信頼性・妥当性を検証した上で,左右脳損傷による違いを検討した.その結果,PAIS-SRの心理的苦悩の領域の「自己評価の引き下げ」および夫婦関係の領域の「性的な興味」の2項目で右脳損傷者が有意に低い傾向が認められた.また,発症後の期間による検討では,左脳損傷群に変化が出やすい傾向が認められた.心理社会的適応という観点からは,自己の障害について右脳損傷者は無関心で,左脳損傷者は経時的に改善する傾向が示唆された.

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© 社団法人 日本リハビリテーション医学会
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