リハビリテーション医学
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脳損傷者の離棟・離院
FIM,神経心理学的検査による障害像の検討と当院における対策
橋本 圭司大橋 正洋渡邉 修宮野 佐年
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2002 年 39 巻 6 号 p. 317-321

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抄録

対象は2000年7月~2001年12月の間に当院の脳損傷病棟(すべて同一病棟)へ入院した脳損傷者156例のうち,移動能力の全くない16例を除いた140名.平均年齢41.1±17.1歳,男性114名,女性26名.疾患の内訳は,脳外傷107名,脳血管障害12名,脳腫瘍9名,低酸素脳症5名,脳炎4名,脳膿瘍1名,コルサコフ症候群1名,正常圧水頭症1名,難治性てんかん治療のための前頭葉切除術後1名である.このうち(1)移動可能な離棟なし群(89名)と,(2)離棟リスクあり群(51名)について,入院時FIM,MMSE,三宅式記銘力検査,WAIS-Rの得点を比較した.結果,FIM認知項目点,MMSE,三宅式記銘力検査の得点において,リスクあり群の方が,離棟なし群と比較して有意に得点が低かった.すなわち,離棟・離院のリスクがある脳損傷の障害像は,(1)車椅子・歩行にかかわらず移動能力がある,(2)FIM認知項目全般,とくに記憶,問題解決能力の障害が重度である,(3)見当識の障害がある,(4)神経心理学的検査において記銘力の低下を認める,であった.

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© 社団法人 日本リハビリテーション医学会
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