抄録
腎不全終末期の栄養管理は,「患者の苦痛を和らげ,尊厳を維持し,生きる意欲を支える」とい
う緩和ケアの視点に沿って行われるべきものである。しかしながら,わが国における栄養管理の
指針や実践報告は十分でない。本稿では,腎不全終末期の病態理解に基づく栄養学的課題,緩和
ケアの概念に沿った栄養管理と食支援の理念,また,その具体的な方法,多職種連携の在り方に
ついて概説する。併せて,家族等の支援についても触れる。現在,わが国では,日本透析医学会
による緩和ケア提言作成が進められている。今後,体制整備に従い,国内での腎不全終末期にお
ける栄養管理の標準化が進むことが期待される。終末期の栄養管理を担う管理栄養士には,腎・
透析領域の専門的なスキルのさらなる向上とともに,緩和ケアの理念や症状緩和への理解,患者
の価値観を引き出すコミュニケーションスキル,多職種との連携・協働のスキルを備えることが
求められる。