日本腎臓リハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2436-8253
Print ISSN : 2436-8180
最新号
心理/支援
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 中村 菜々子
    2024 年 3 巻 2 号 p. 69-75
    発行日: 2024/12/25
    公開日: 2024/12/27
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     本稿では,慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)患者への包括的支援について,その心 理面への効果について先行研究を概観した。包括的支援は,患者の生活や心理面を含む多様な要 素について,多職種がその専門性を生かしてかかわる支援を指す。包括的支援についてはさまざ まな研究・実践が実施されているが,身体面への効果検証が中心であった。しかし近年,心理面 への効果検証の知見が集積されつつある。包括的支援に含むべき支援内容,包括的支援にかかわ る多職種の定義やその組み合わせによる心身への効果の違いについては今後さらなるエビデンス の蓄積が求められる現状である。
  • 矢部 広樹, 髙橋 蓮
    2024 年 3 巻 2 号 p. 76-84
    発行日: 2024/12/25
    公開日: 2024/12/27
    ジャーナル 認証あり
    運動は,慢性腎不全患者や血液透析患者に限らず,多くの人々の心理面に有効な効果を持つこ とが証明されている。これは脳科学的にも神経生理学的にも裏付けられており,多くの研究でエ ビデンスが示されている。一方で,臨床の現場や自身が運動を行った感覚として,運動による心 理面の改善や生活の質(QOL)の向上を実感できる場合も経験するかもしれない。本稿では,ま ず運動と心理面の効果について,神経生理学的な根拠やエビデンスを紹介し,その後,エビデン スと日常臨床の接点について述べ,日常臨床における心理面への効果を期待した運動療法の捉え 方について言及する。
  • 濵田 昌実
    2024 年 3 巻 2 号 p. 85-93
    発行日: 2024/12/25
    公開日: 2024/12/27
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    自己管理行動継続に向けた心理的支援を展開し,生活機能の改善,QOL と生命予後の向上に資 することが期待される。本稿は,保存期CKD 患者への看護師主導の多職種介入研究に関する文 献レビューを実施し,保存期CKD 患者の多職種介入における看護支援効果と心理面に着目した 効果検証の在り方を考察した。国内外の看護師主導の多職種介入研究では知識提供と,心理的支 援を含めた看護介入で,自己効力感の向上,自己管理行動の改善,抑うつ・不安の改善,QOL の 向上が示された。しかし,各指標を測定する尺度,評価時期にもばらつきがみられた。今後,看 護師を含めた多職種の介入効果を検証する際,全死因による死亡率,CVD 発症,腎機能低下, QOL に加え,共通指標を用いて自己管理行動,自己効力感等,心理面での介入効果についての評 価を行うことが期待される。
  • 竹内 裕紀
    2024 年 3 巻 2 号 p. 94-104
    発行日: 2024/12/25
    公開日: 2024/12/27
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     CKD の進行・合併症を防止するには,患者が適正に服薬することが前提となる。CKD は痛み などの症状が現れずに徐々に病態が進行していくため,服薬の意義や必要性を実感しにくい。そ のためにノンアドヒアランスとなり,CKD の進行を速めてしまう場合も少なくない。  ノンアドヒアランスでは,まずは正しく服薬できない原因を把握する必要がある。原因には飲 み忘れ,薬の飲みにくさ,症状がない,効果が実感できない,効果への疑心,副作用への不安, 服薬の意義の理解不足,用法用量を正しく理解できないなどさまざまである。心理面が関与して いる場合は,心理面へのアプローチを行う。服薬の意義の理解が不足している患者には,エビデ ンスや具体的な事例を示しながら,現実感を持てる説明をすることが重要である。ノンアドヒア ランスに対する心理面へアプローチとして,効果への実感・期待を高め,副作用の不安を解消・ 軽減し,服薬の意義や必要性を理解してもらう服薬指導を実践する。
  • 記憶障害の特徴を理解する,応用行動分析を 活用する
    谷向 仁
    2024 年 3 巻 2 号 p. 105-110
    発行日: 2024/12/25
    公開日: 2024/12/27
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    わが国は超高齢社会を迎えており,透析現場においても認知症者が増えていることから非薬物 療法を中心とした医療者の認知症対応能力の向上が課題である。本総説では,認知症者の記憶の 特徴から考えるコミュニケーションの工夫,環境(刺激)と行動との関係に注目し,行動を分析 し対応を検討する応用行動分析について概説する。  認知機能障害の特徴としては,中性的(情動面にあまり影響しない)な内容や体験よりも,情 動喚起しやすい内容や体験が記憶に残りやすいことが知られており,このことを理解してコミュ ニケーションを心がけることが大切である。またケアの妨げとなる行動がみられる場合には,そ の行動がみられた直前の環境や医療/介護者のかかわり方(先行刺激)に注目し,その改善に努 めること,また行動がみられた後の対応(後続刺激)についても検討を行うことが,ケアを妨げ る行動を減らすことに役立つと考えられる。
  • 山田 将平, 櫻田 勉
    2024 年 3 巻 2 号 p. 111-122
    発行日: 2024/12/25
    公開日: 2024/12/27
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     腹膜透析(peritoneal dialysis:PD)は転換期を迎え,患者中心の治療目標の設定が重要視され ている。一般的に血液透析(hemodialysis:HD)と比較し,在宅治療であるPD はより身体活動 が保たれやすいイメージがあるが,疫学研究ではPD 患者はHD 患者と比較し,身体活動量,サ ルコペニアの有病率に差がないことが報告されている。PD 患者における運動介入の報告はまだ まだ限定的であるが,quality of life(QOL)の向上やサルコペニアの予防効果が示されてきてい る。2022 年には,国際腹膜透析学会とGlobal Renal Exercise Network が共同で,PD 患者におけ る運動の実践に関する推奨事項を公開した。このような背景から,今後は運動への介入は,PD 患 者がより良い人生を送るために必要不可欠なものとなり,また医療者が積極的に取り組んでいか なければならない課題である。
  • 鈴木 裕太
    2024 年 3 巻 2 号 p. 124-133
    発行日: 2024/12/25
    公開日: 2024/12/27
    ジャーナル 認証あり
    慢性腎臓病患者は高率に身体活動量の低下をきたしている。身体活動量は腎不全の初期段階か ら低下し始め,腎機能の低下とともに減少し続ける。特に,血液透析患者の身体活動量は同年代 の健常者と比較して半分程度まで低下しており,この血液透析患者における身体活動量の低下は 生命予後の悪化と密接に関連することが報告されている。そのため,血液透析患者における身体 活動量低下の是正は疾病管理上重要であり,多くの診療ガイドラインにおいても慢性腎臓病患者 が定期的な身体活動を継続することを推奨している。本稿では血液透析患者の身体活動量の特性 や生命予後との関連,身体活動量を管理する方策について概説したい。
  • 杉本 和樹, 岩下 佳弘, 前田 曙, 山田 しょう子, 飯山 準一
    2024 年 3 巻 2 号 p. 134-145
    発行日: 2024/12/25
    公開日: 2024/12/27
    ジャーナル 認証あり
    背景:受動温熱時の腎微小循環変動に対する交感神経および温熱性血管拡張の関わりの程度を 明らかにすることを目的とした。  方法:マウスのtransient receptor potential vanilloid 4(TRPV4)を阻害,またはβ受容を遮 断し,直腸温を37℃または40℃で保持したときの腎皮質血流量,心拍数,収縮期血圧,および nitric oxide synthase 3(NOS3)mRNA 等を測定し,比較検討した。  結果:TRPV4 阻害下受動温熱では,NOS3mRNA の発現低下を伴い,腎皮質血流量が18.5%有 意に低下した(p<0.05)。しかし,心臓仕事量は変わらなかった。β受容体遮断下受動温熱では, 心臓仕事量が有意に低下し,腎皮質血流量が14.4%有意に低下した(p<0.05)。  結論:腎微小循環調節には,交感神経と温熱性血管拡張が同程度に関与していることが示唆さ れた。 *
  • 小篠 榮, 清水谷 真宏, 久保村 滋夫, 野口 宗親, 中村 利孝, 大坪 由里子, 大坪 茂
    2024 年 3 巻 2 号 p. 146-150
    発行日: 2024/12/25
    公開日: 2024/12/27
    ジャーナル 認証あり
    透析患者における認知症の頻度は,一般の人々よりも非常に高い。行動心理症状(behavioral and psychological symptoms of dementia:BPSD)は認知症の人々によくみられる興奮,暴力, 不安感,うつ状態,妄想や睡眠障害といったさまざまな行動や心理状態を表している。BPSD を 呈した高齢透析患者にリハビリテーションを施行する際,薬物の内服が困難なことは重大な問題 となってきている。そのような場合,ブロナンセリンの皮膚からの投与は内服のできない患者に 効果的であり,ブロナンセリンの経皮吸収型製剤は高齢の透析患者におけるBPSD の症状を改善 しリハビリテーションと透析施行が可能となった。
  • 三橋 啓太
    2024 年 3 巻 2 号 p. 151-157
    発行日: 2024/12/25
    公開日: 2024/12/27
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     目的:透析を拒むフレイルのある心不全患者に「認知症の人の日常生活・社会生活における意 思決定支援ガイドライン」を用いた看護介入を行った。報告に際し自施設の許可を得た。  症例:患者A は心不全を繰り返す70 歳代の認知症のない女性。治療により胸水が改善せず, 透析療法を提案したがA はそれを断った。再入院時,透析導入に関する意思決定支援を行った。  結果:意思形成支援では過去の病気体験,家族関係や透析への思いを聴き,病態の理解を促し た。疾病管理が心理的健康や動機づけにつながると考え,意思表明支援では今後の生活の希望の 表出を促した。意思実現支援では,入退院の経過が役割喪失につながった体験から入退院予防が 身体機能維持・向上につながるという理解から,A が自ら透析療法を知りたいと語った。  結語:認知症の有無に関わらずプロセスを意識した意思決定支援により,A は身体・心理的な 認識が促され透析療法の必要性を理解した。
  • 小島 将
    2024 年 3 巻 2 号 p. 159-161
    発行日: 2024/12/25
    公開日: 2024/12/27
    ジャーナル 認証あり
  • 髙橋 蓮
    2024 年 3 巻 2 号 p. 162-163
    発行日: 2024/12/25
    公開日: 2024/12/27
    ジャーナル 認証あり
  • 野地 剛史
    2024 年 3 巻 2 号 p. 164-165
    発行日: 2024/12/25
    公開日: 2024/12/27
    ジャーナル 認証あり
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