日本胸部疾患学会雑誌
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気管支拡張性喘息治療薬 Clorprenaline および Aminophyllin の炎症反応に及ぼす影響 (第1報) 急性浮腫に対する作用
鶴見 介登藤村 一水谷 明
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1977 年 15 巻 3 号 p. 130-138

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抄録

気管支喘息の治療に用いられる気管支拡張薬 clorprenaline および aminophyllin について, 急性浮腫に対する影響を検討した. 両薬物共 carrageenin および dextran によって惹起したラット足浮腫を明かに抑制し, ビール酵母によるラット足の疼痛閾値下降を有意に上昇させた. 従って両薬物共急性浮腫を明かに抑制したが, 皮下投与および経口投与共作用発現はやや遅いようであった. この作用機序として両薬物の有する cyclic AMP の組織内濃度上昇効果があげられる. しかしこれによる効果は弱いもので, 主たる要因は chemical mediators の遊離抑制ならびに拮抗作用によるものと思われる. また aminophyllin の強心利尿効果も多少は関係しているものと思われる. そして臨床用量から考えると clorprenaline の抗浮腫作用の方が aminophyllin よりも強力のようであった. 以上の結果から両薬物は単なる気管支平滑筋の弛緩による効果のみならず, 気道粘膜の腫脹を消褪させて喘息治療には好ましい効果を有する薬物であることが認められた. ただその効果発現は adrenaline のように速効性ではなく, また比較的大量を必要とすることから副作用とのかね合において, 臨床的価値を検討する必要がある.

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