日本胸部疾患学会雑誌
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びまん性汎細気管支炎の免疫学的研究
とくに本症におけるTリンパ球サブセットの解析
吉村 邦彦内田 好彦中谷 龍王蝶名林 直彦中森 祥隆中田 紘一郎谷本 普一
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1984 年 22 巻 11 号 p. 992-999

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抄録
びまん性汎細気管支炎 (DPB) 30例をP. aeruginosa 未感染群, P. aeruginosa 感染群, P. aeruginosa 感染コルチコステロイド (CS) 治療群の3群に分け, 寒冷凝集素価 (CHA), 免疫グロブリン (Ig), ツベルクリン反応(ツ反), 末梢血リンパ球サブセットなどの免疫学的検討を行った. CHAは起炎菌, CS投与に拘らず大半が256倍以上である. IgではIgAが各群で異常高値を示すが, とくにP. aeruginosa 感染群で未感染群に比し有意に高い(<0.05). DPBにおけるツ反陽性率はCS投与群で33.3%と低率であるが, 他の2群では62.5%および81.2%(両群で75.0%), 全体でも66.7%であり, 本症で特異的にツ反が陰性化するとは言えない. 末梢血リンパ球数はCS投与群を除き健常者とかわらず, T, Bリンパ球分画も正常であるが, Tリンパ球サブセットではOKT4+増加とOKT8+減少が認められ, OKT4/OKT8比は有意に高値である. DPBでは, その発症および進展に免疫学的機序の関与が示唆される.
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© 日本呼吸器学会
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