日本胸部疾患学会雑誌
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興味ある経過を示したアレルギー性気管支肺アスペルギルス症の1例
広松 雄治光武 良幸林 俊治安倍 俊男田中 二三郎市川 洋一郎加地 正郎
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1985 年 23 巻 10 号 p. 1201-1206

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抄録

気管支粘液栓塞症を合併し, 興味ある経過を呈したアレルギー性気管支肺アスペルギルス症の1例を報告した. 症例は53歳の男性, 豆腐製造業. 39歳頃より肺結核症として治療を受けていたが, 昭和53年7月頃より発作性呼吸困難が出現し, 昭和54年4月血痰を喀出して入院した. 発熱, 血沈の促進, 血中および喀痰中の好酸球増多, 胸写にて気管支の走行に一致したV字型均等影を認め, 気管支造影にて中心性気管支拡張症を認めた. 喀痰よりアスペルギルスが分離され, アスペルギルスに対する2相性皮膚反応, 吸入誘発試験で2峰性の一秒率の低下がみられ, IgE (RIST) 6,300IU/ml, IgE抗体 (RAST) 陽性, 沈降抗体陽性で, 本症と診断された. 本例は Aspergillus flavus や niger が分離された点や遅発型皮膚反応が遷延化した点が特異であり, 肺化膿症の合併を契機にIgE値が下降し, ステロイド剤を投与することなく, 現在まで長期間の寛解が得られている.

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