症例は38歳, 男性, 主訴は発熱と開口障害. 昭和52年4月頃より, 微熱, 盗汗, 易疲労感出現. 5月より, 左右顎関節周囲の疼痛出現し開口困難となる. 胸部X線像にて右S
3の腫瘤影を指摘され6月入院. 赤沈高度亢進, CRP6+, 開口障害は徐々に回復したが, 移動性有痛性皮下結節が出現, 喀痰の細胞診, 一般菌, TB菌, 真菌培養は陰性で, 陰影は抗生剤, 抗結核剤に反応せず. prednisolone 40mg/day の投与にて, 陰影の消失をみたため11月退院した. prednisolone 中止6ヵ月後の昭和54年3月頃より, 手指のこわばり, 咳嗽, 微熱, 易疲労感出現. 胸部X線像で右S
6に腫瘤影を認めたため4月再入院となる. 検査所見は初回入院時とほぼ同様で, 6月診断確定のため右S
6区域切除術を施行. 成熟リンパ球, 形質細胞の強い浸潤と胚中心を有するリンパ濾胞が多数みられ, pseudolymphoma と診断された. 術後6年の現在, 再発はみられない. 多彩な症状を呈し, ステロイドが著効した本症はまれである.
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