肺硬化性血管腫3例を報告し, 臨床的に自験例を含む155例の文献的考察を加え, 腫瘍発生母地につき病理組織学的および免疫組織化学的に検討し, 次の結論が得られた. (1) 臨床的には中年の女性に多く, 自覚症状が乏しく, 胸部X線写真上円形ないし楕円形の腫瘤影で, 右肺 (とくに右下葉) に多くみられた. (2) 術前診断は腫瘍が大きければ気管支動脈, 肺血管造影, 胸部CTなどが助けとなるが, 腫瘍が小さい場合は肺癌との鑑別が困難であり, 術中組織診が有用である. (3) 術式は肺部分切除術または葉切除術であり, 予後良好で, 肺良性腫瘍と考えられる. (4) 病理組織学的には腫瘍の主体である充実性部分は腫瘍性性格を有するので, 術後に定期的な観察が必要である. また免疫組織化学的には腫瘍の主体をなす充実性部分は Secretory component および Factor-VIII 染色が陰性であり, その発生母地に関してさらに今後の検討が待たれる.