日本胸部疾患学会雑誌
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肺高血圧症の成立に関する実験的研究-人工的一側虚脱肺の Monocrotaline 肺高血圧症成立に対する抑制作用について-
椙田 隆沢田 晶夫栗山 喬之山岸 文雄河内 文雄内藤 隆角坂 育英岡田 修渡辺 昌平小形 岳三郎
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1985 年 23 巻 11 号 p. 1328-1336

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抄録

Monocrotaline (M) 投与によるラット肺高血圧症は, 初期にみられる肺血管障害に続いて生ずるといわれている. この初期に障害をうける血管床を制限させることによって, 実験後期に発生する肺高血圧を抑制し得るか否かを知る目的で, 一側肺に気胸により虚脱肺を作成したラットにM投与実験を行った. S-D系ラット45匹をM30mg/kg1回投与したM群, M投与1日前より投与後4日迄左肺の虚脱を継続させたP+M群, および虚脱のみのP群に分けた. 3週後右室圧と心肺の形態学的検索を行った. 右室収縮期圧: M群89±6mmHg, P+M群42±13mmHg. 右室重量比 (RV/LV+S); M群0.66±0.06, P+M群0.40±0.11, 肺小動脈中膜肥厚度; 右肺, M群22.6±2.3%, P+M群13.9±2.9%, 左肺, M群21.8±1.7%, P+M群14.9±3.1%, でP+M群がM群に比して有意に低値を示した (P<0.001). 以上M肺高血圧症の発症には, 初期に障害をうける肺血管床の範囲が, 続いて発生する肺高血圧に重要な因子であることが認められた.

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