日本胸部疾患学会雑誌
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腫瘍性, 非腫瘍性呼吸器疾患および喫煙における腫瘍マーカー (CEA, Ferritin, β2MG, TPA, IAP, Sialic Acid) の意義
カレッド レシャード鈴木 清乾 健二高橋 豊梅宮 正志中野 豊坂本 益雄竹内 吉喜島田 恒治
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1985 年 23 巻 11 号 p. 1343-1350

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抄録
健常者132名, 原発性肺癌96例, 転移性肺腫瘍17例, そして非腫瘍性呼吸器疾患724例においてCEA, Ferritin, β2MG, TPA, IAPやシアル酸を測定検討した. 健常者において Ferritin とIAPを除いては, 性別による有意差はなく, 喫煙によってCEAおよびIAPが左右され, 特に喫煙が進むにつれてCEAのみが高値を示した. 原発性肺癌におけるそれぞれのマーカーの陽性率は, 57.8%, 36.6%, 27.8%, 55.1%, 66.1%, 77.0%で, 腺癌および小細胞癌のそれはより高値を示し, またCEA, Ferritin やTPAが臨床病期に正の相関を呈した. 一方, CEAおよびTPAによって治療劾果判定や予後の推定が可能であった. 非腫瘍性呼吸器疾患ではそれぞれのマーカーが, 11.7%, 19.6%, 12.8%, 19.7%, 77.0%, 75.8%の陽性率を示し, IAPとシアル酸は腫瘍によってのみではなく, 炎症によっても高値を示し, CRPやESRと正の相関を呈した. 他方, 腫瘍マーカーの陽性率は, 慢性非腫瘍性疾患において高く, 喫煙者とともに high risk group として慎重な観察を要するものと思われた.
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© 日本呼吸器学会
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