1985 年 23 巻 11 号 p. 1369-1375
Swyer-James-MacLeod 症候群は, 狭義の unilateral hyperlucent lung すなわち, 1側肺または肺葉の透過性亢進をきたす疾患であり, 欧米ではこれまでに200例以上, 本邦でも約50例の報告がある. 今回我々は, 長期間, 気管支喘息として治療されてきた本症を経験した. 症例は54歳の男性で, 呼吸困難, 発熱, 喀痰があり, 胸部X線上, 右上中肺野の透過性亢進を示した. 肺シンチグラムでは換気・血流ともに右肺で減少し, 肺動脈造影では右肺動脈の狭小化を示し, 本症と診断した. 本例に選択的肺胞気管支造影を施行し, 小葉中心性肺気腫及び支拡張像を認めた. イソプロテレノール吸入試験では可逆性の気道閉塞の存在も示唆され, 気管支喘息の鑑別疾患の1つとして, 本症を考慮する必要があると思われた. また本邦での文献的考察を加えて検討した.