日本胸部疾患学会雑誌
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ARDS患者における肺でのノルエピネフリン代謝
円山 啓司
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1985 年 23 巻 12 号 p. 1431-1439

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抄録

ARDS患者16名を対象とし, 肺でのノルエピネフリン (NE) の取り込み率と臨床経過, さらに, ARDSにしばしば見られる高血圧の発症との関連性について検討した. 又雑種成犬を用い, 蛍光組織化学的にNE取り込み部位について調べた. ARDSにおける肺への取り込み率は3.75±4.2%と低値を示した. ICU入室後10日から19日までで, NE取り込み率は最低となり, その後は改善傾向にあった. 又ARDSの進行とともに, NE取り込み率は低下し, 改善とともに, NE取り込み率も改善した. ARDSに見られる高血圧例では非高血圧例に較べ, 有意にNE取り込み率は低値を示した (p<0.05). 蛍光組織化学的には, 血管内膜に沿ってアミン蛍光を認め, このアミンがNEであることを顕微鏡光度計を用いて同定した. ARDSにおいて, NE取り込み率は肺血管障害の程度と密接な関係にあり, さらに高血圧発症にもNE取り込み率の低下が強く関与していることが示唆された.

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