抄録
膠原病30症例 (PSS 6例, SLE 9例, RA 8例, DM 3例, PN 2例, WG 2例) の剖検肺について病理組織学的に血管病変と間質性肺炎について検討した. なお肺病変については特発性間質性肺炎 (IIP) 4例との比較を合せおこなった. 結果: 血管炎; 壊死性血管炎はSLE 2例, RA 1例, PN 2例, WG 1例の気管支動脈に認められた. これらの血管炎は部位的に肺葉差はみられず, 肺実質の随伴病変も認められず一次的病変と考えられた. WGでは壊死性肉芽腫巣に一致して肺動静脈の二次的血管炎が認められた. 間質性肺炎; 蜂窩肺, 胞隔炎などの間質性病変は膠原病各疾患に高率に認められた. 又IIPと比較すると膠原病肺では広義の間質 (胞隔のみならず血管周囲組織, 気管支一細気管周囲組織, 小葉間隔壁, 胸膜下層を含む) にも間質性肺炎或は線維化が強く認められたほか蜂窩肺における嚢胞の大小不同性および分布の不均等性が傾向として認められた.