抄録
肺胞マクロファージ (AM) が in vitro で刺激により平滑筋収縮物質を放出することを見出し, その本態を生物学的, 生化学的に検討した. ラットAMを zymosan (zy) で刺激すると, 培養上清に slow reacting substance 様収縮パターンを示す平滑筋収縮物質が放出された. AMを種々の刺激物質で刺激すると, zy と opsonized zy の比較ではその放出に差はなかったが, 羊赤血球 (SRBC), opsonized SRBC では, 後者の刺激時にその放出は亢進していた. この平滑筋収縮物質は分子量が1,000以下, 耐熱性で, エタノールに抽出された. またアラキドン酸リポキシゲナーゼ阻害剤により, その生成が阻害された. 本物質は逆層高速液体クロマトグラフィー法で標品の leukotriene C (LTC) に一致する分画に溶出された. 以上の結果はAMが刺激に応じ放出する平滑筋収縮物質はアラキドン酸リポキシゲナーゼ代謝物である節LTCであり, また, AMが刺激物質を貧食することにより本物質の放出が促進することが示唆された.