日本胸部疾患学会雑誌
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造影剤肺炎の病理
河端 美則守 純一岩井 和郎
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1985 年 23 巻 6 号 p. 674-678

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抄録
呼吸器臨床で日常的に実施されている気管支造影に伴った造影剤肺炎について報告した. 過去3年間に気管支造影後, 外科的に切除された切除肺を検索した. 造影剤肺炎がみられた5例に対し, 軟X線撮影並びに肉眼的・組織学的検討を行った. 2例に, 1肺葉・多発性・融合性病変が, 1例に, 1区域・多発性・融合性病変が, 2例に1区域・散在性病変がみられた. 病変は呼吸細気管枝腔内での造影剤 (好酸性無構造物質・コレステリン結晶), 各種炎症細胞とそれをとりかこむ組織球層とその外側の周局炎であり, 対応する肺動脈・細動脈に血管炎がみられた. 病理学的には血管炎を伴った, 異物性, 壊死性肉芽腫性肺炎である. 気管支造影剤が末梢気腔へ導入されて, 排除されない場合の反応であり, 今後の気管支造影時の注意すべき点である.
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