日本胸部疾患学会雑誌
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アレルギー性肉芽腫性血管炎の3例
日高 紀子滝沢 始久富 龍夫小須田 達夫宮地 純樹小沢 英輔北村 勇田淵 健一日野 治子西脇 宗一
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1985 年 23 巻 7 号 p. 837-842

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抄録
種々の臨床症状を呈した3例のアレルギー性肉芽腫性血管炎を経験したので報告した. 症例1の19歳女性, 症例2の46歳男性は気管支喘息で発症し消化器症状が全身血管炎の主な症状であり, 皮膚生検から症例1は血管炎と血管外肉芽腫, 症例2は血管炎の所見が得られた. 症例1は多発性小腸穿孔で小腸切除を受けている. 症例3は37歳女性でアレルギー性鼻炎とPIE症候群で発症し, 消化器, 神経症状を主とした全身血管炎が改善しつつある時期に, 初めて気管支喘息の発症がみられた. 症例1, 2はプレドニソロンが奏功しその後数年間に全身血管炎の再発をみていないが, 症例3は1年後に再発し治療に苦慮した. 本邦では50数例の報告がみられるが, 気管支喘息で発症する例が大多数であり, 全身血管炎発症までは平均4年である. 病因に関してはさまざまの仮説があるが, 今後の検討が待たれる.
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