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Print ISSN : 0289-6540
並列オブジェクト指向言語の分散環境における実現
高田 敏弘米澤 明憲
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1989 年 6 巻 1 号 p. 1_17-1_29

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抄録

並列オブジェクト指向言語を,分散環境すなわち共有メモリを持たない多重プロセッサシステム上で実現する際に問題となる点として, 1. 分散環境上での実現に適した言語の設計. 2. 分散環境上でのオブジェクトの管理・実現方法. 3. 並列実行機構の実現方法. の3点が挙げられる. 本論文では,1.に関しては,分散環境上での実現を考慮しながら兼列オブジェクト指向モデルABCM/1に基づき設計された,並列オブジェクト指向言語ABCL/Mについて述べている.また,2.と3.に関しては,オブジェクトをあるノード上のヒープ領域内にスタックとして実現し,オブジェクトへのポインタを,そのノードのノードIDとスタックを指しているオブジェクトテーブルのインデックスの組からなるDOOP (Distributed Object-Oriented Pointer)として実現することによって解決している. さらに,分散環境におけるオブジェクトのガーベッジコレクション(GC)に関しては,生きているオブジェクトの参照のリンク辿りのバッファリングを目的とした"マーカー方式のGC"と,システム全体を停止することなしにMark& Sweep方式のGCを行うために,Chandy& LamportのDistributed Snapshotsのアルゴリズムを応用する方法について述べている.

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© 1989, 日本ソフトウェア科学会
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