日本胸部疾患学会雑誌
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特発性間質性肺炎に合併した肺癌の病理学的研究
特に蜂窩農構造との関係について
清水 英男
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1985 年 23 巻 8 号 p. 873-881

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抄録
特発性間質性肺炎 (IIP) の患者に肺癌が発生する頻度が高いことは衆知の事実となっている. しかし, その肺癌原発部位と蜂窩構造との位置関係を含めた詳細な検討はなされていない. 今回, IIPが肺癌発生の母地となることを示す目的で, 特に肺癌原発部位と蜂窩構造の分布,上皮の化生, 重複肺癌率などを調べ検討した. 対象は, 肺癌を合併したIIPの慢性型15剖検例と肺癌非合併のIIPの慢性型8剖検例である. IIPに合併する肺癌の原発巣や組織型に関しては必ずしも特徴はないが, IIPに合併した肺癌20病巣のうち13病巣が蜂窩構造に包含されるか, あるいは接していた. また, IIPの4例に異型のみとめられる扁平上皮化生があり, そのうち3例に扁平上皮癌が存在した. 重複肺癌は肺癌を合併したIIP15例のうち5例 (33%) にみられ, 対照としたIIPを伴わない肺癌229剖検例のうち5例 (2.2%) に比べ, 明らかに高率であった.
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