日本胸部疾患学会雑誌
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“Gold lung”の気管支肺胞洗浄液中のT細胞増加とリンホカインについて
池田 俊近沢 章二直江 弘昭難波 煌治安田 國士安武 敏明本田 三男
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1986 年 24 巻 11 号 p. 1258-1265

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抄録

我々は, 63歳の女性で, 慢性関節リウマチの治療に金製剤の投与を受けたあと, 間質性肺炎 (いわゆる gold lung) を引き起こした症例に対してBALを施行し, BAL中のリンパ球数の増加, Leu-3a/Leu-2a比の低下, さらにマクロファージ走化因子 (MCF), リンパ球走化因子 (LCF) およびマクロファージ遊走阻止因子 (MIF) などのリンホカインが存在することを確認した. また胸部レ線, 血液ガス, 肺機能検査などが改善した時点で再検したBALにおいて, リンパ球数, Leu-3a/Leu-2a比の正常化が示された. これらの所見は, gold lung の病因には, 金製剤に対する特異的細胞免疫性過敏反応が関与していることを示唆する所見であり, さらにBALの細胞成分の解析, とくにリンパ球数と T-helper/T-suppressor 細胞比の算定は臨床診断に役立つとともに, 治療の有用な指標となることを示唆している.

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