日本胸部疾患学会雑誌
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24 巻, 11 号
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  • 宝来 威
    1986 年 24 巻 11 号 p. 1177-1178
    発行日: 1986/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
  • 長野 準
    1986 年 24 巻 11 号 p. 1179-1185
    発行日: 1986/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    当院における呼吸不全949例のうち慢性呼吸不全例について病態, 経過, 予後を中心に検討しその特徴をまとめた. 慢性呼吸不全は27.3%を占め, その60.4%がPaCO2>45TorrのII型である. 死亡率は53%で急性呼吸不全例 (24.2%) に比して高い. この予後の悪い病態は死亡率がI型とII型で差を認めないこと, 増悪時のPaO2の平均が43.0Torrで急性呼吸不全例の52.3Torrより有意に低いこととから, 持続する低酸素血症が関与するものと考えた. 増悪の原因は肺・気道感染と心不全で75%を占め, そのまま死因につながる傾向が強く, これも予後を悪くする―因である. 慢性呼吸不全の基礎疾患として頻度が高い肺結核, 慢性肺気腫, 慢性気管支炎, 特発性間質性肺炎及び肺癌は個々の疾患毎に慢性呼吸不全後の予後を異にする. これは多臓器障害をみる臓器と障害の程度, 合併症の有無・種類, 急性増悪や死亡の原因などが疾患により異なることから理解できる.
  • 大田 満夫, 原 信之
    1986 年 24 巻 11 号 p. 1186-1191
    発行日: 1986/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    肺癌は微小転移が多いので, 早期肺癌以外は化学療法が必要である. しかし, 集学的治療の成果が明らかにあがったのは小細胞癌である. 肺小細胞癌の第1の治療は多剤併用化学療法であり, 補助療法として放射線療法と肺切除がある. 肺切除の適応はI期症例である. 切除25例の5年生存率は37.2%であった. 完全寛解を得ることが長期生存への第1段階であり, 非切除CR例の5生率は11.9%であった. 非小細胞癌では, 切除術が最も有効で, 5生率はI期66.8%, II期35.3%, III期20%で, 全切除例では45.6%であった. 補助化学療法は無効であった. 非切除例では, 強力化学療法CAP-M療法が, MFC療法より奏効率が高く, 有意の延命効果をあげた. 肺癌治療成績の向上は, 今後化学療法の進歩にかかっている.
  • 重松 信昭
    1986 年 24 巻 11 号 p. 1192-1199
    発行日: 1986/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    サ症自験例229例につき, 難治性の要因, 発症要因並び診断・治療における問題点を検討した. 難治の要因として上気道慢性感染巣の存在が大きく, 他に overwork や過飲酒が考えられた. 病因として, 上気道感染巣よりの連鎖球菌が下気道に入り, 抗原として作用すること, 肺胞洗滌液にみられるのと同じような反応がSCWと末梢血リンパ球反応との間にみられること, その際免疫複合体はリンパ球反応低下に作用する所見を得た. 診断・治療について, BHLが明らかでないぶどう膜炎例の鑑別診断, SACEに影響を与えるものとしての腎障害の問題, remission の判定におけるSACEの経過及び Ga-scan 成績の見方についての検討を述べた.
  • 螺良 英郎, 滝沢 敬夫
    1986 年 24 巻 11 号 p. 1200-1239
    発行日: 1986/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
  • 伊藤 幸治, 石井 彰, 木谷 誠一, 浦田 誓夫, 庄司 俊輔, 宮本 昭正
    1986 年 24 巻 11 号 p. 1240-1246
    発行日: 1986/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    抗モルモットIgEの静注で惹起される正常モルモットの喘息を手術や麻酔なしに呼吸機能測定を可能とする Mead の装置で調べた. その結果, 同喘息は正常モルモットにIgE抗体で被動感作し該当抗原を吸入させて惹起した喘息と同様の呼吸パターン, 呼吸抵抗の変化を示した. Disodium cromoglycate (DSCG) 25mg/ml または10mg/mlをモルモットに2分間吸入させ, 15分後に抗IgEを静注してもいずれの群においても5匹中4匹は喘息症状を示さなかった. これに対し, 25mg/mlのDSCGまたは生理食塩水を投与させた群では全例が抗IgE静注後, 喘息を発症した. DSCG2分間の吸入ではモルモット気管支のヒスタミン感受性は変化しなかった. 我々の報告はモルモット喘息におけるDSCGの予防効果を示す最初の報告である. 以上のように我々の実験系は抗喘息薬の検討に有用であると思われる.
  • 田沢 公樹, 中島 宏昭, 笠原 慶太, 周東 千鶴, 高橋 昭三
    1986 年 24 巻 11 号 p. 1247-1252
    発行日: 1986/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    気管支粘膜基底膜のフィブリン沈着が抗生物質の気管支肺胞腔内移行におよぼす影響を検討する目的で, 抗生物質の血中濃度, 気管支分泌物中濃度, 気管支洗浄液 (bronchial lavage fluid, BLF) 中濃度を測定し, 基底膜のフィブリン沈着を観察した. 感染のない呼吸器疾患々者15例に, 抗生物質 Fosfomycin (FOM) 4g を点滴静注し, 30分後に気管支分泌物およびBLFを採取した. 1) 15例中6例に, 基底膜のフィブリン沈着を認めた. 2) BLFにおけるFOMの濃度と血中からの移行率は, いずれもフィブリン沈着陽性群が陰性群に比べて有意に低かった. 3) 気管支分泌物のFOM濃度と移行率は, フィブリン沈着の有無による差を認めなかった. 以上の成績より, 気管支基底膜のフィブリン沈着が抗生物質の気管支系への移行に抑制的に関与していることが考えられた.
  • 特にハイムリッヒ弁使用による外来治療について
    中村 治彦, 神尾 重則, 山田 哲司, 上原 淳, 新妻 雅行, 雨宮 隆太
    1986 年 24 巻 11 号 p. 1253-1257
    発行日: 1986/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    1980年から1984年までの5年間に東京医科大学外科外来を受診した自然気胸126症例を対象として治療法と予後との関係を調べた. 我々は初発例に対しハイムリッヒ弁装着による胸腔ドレナージで外来治療を試み, 無効例に開胸術を含む入院治療を行っている. 最近の2年間では約50%の症例が外来治療のみで治癒しており, 入院症例はほとんどが手術例となってきた. すなわち, ハイムリッヒ弁は低圧持続吸引と同等の効力を有し, 入院による患者の社会的, 経済的負担を免除できる利点がある. 治療法による再発率を比較すると, 胸腔ドレナージでは22.2%で, 全例が同側再発であるのに対し, 開胸術では同側再発は4.41%であったが, 対側再発が13.2%と比較的高頻度にみられた. 手術により対側肺の自然気胸発症を促す何らかの要因が働くものと推定され, 今後検討を要す問題である.
  • 池田 俊, 近沢 章二, 直江 弘昭, 難波 煌治, 安田 國士, 安武 敏明, 本田 三男
    1986 年 24 巻 11 号 p. 1258-1265
    発行日: 1986/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    我々は, 63歳の女性で, 慢性関節リウマチの治療に金製剤の投与を受けたあと, 間質性肺炎 (いわゆる gold lung) を引き起こした症例に対してBALを施行し, BAL中のリンパ球数の増加, Leu-3a/Leu-2a比の低下, さらにマクロファージ走化因子 (MCF), リンパ球走化因子 (LCF) およびマクロファージ遊走阻止因子 (MIF) などのリンホカインが存在することを確認した. また胸部レ線, 血液ガス, 肺機能検査などが改善した時点で再検したBALにおいて, リンパ球数, Leu-3a/Leu-2a比の正常化が示された. これらの所見は, gold lung の病因には, 金製剤に対する特異的細胞免疫性過敏反応が関与していることを示唆する所見であり, さらにBALの細胞成分の解析, とくにリンパ球数と T-helper/T-suppressor 細胞比の算定は臨床診断に役立つとともに, 治療の有用な指標となることを示唆している.
  • 玉谷 青史
    1986 年 24 巻 11 号 p. 1266-1274
    発行日: 1986/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    呼吸中枢からの吸気活動と呼吸パターンを決定する基本因子であるVT, TI, TEとの関係をプログラムMAP (Multi Analysis Program) を用いて解析した. このMAPはBASIC言語で約370ステップで書かれており, 11種類の組み合わせについて一次あるいは曲線回帰式を70~100秒で演算処理し, 結果をCRT画面上に描出することが出来る. 健康な男女合計20名を被験者とした. 高二酸化炭素換気応答は1.92±1.13L/mmHg, P0.1は0.57±0.43cmH2O/mmHgであった. これらのデータはすでにいくつか報告されている測定値と同様に正常範囲にあると考えられた. 高二酸化炭素刺激に対する1回換気量VTの増加と吸気時間TI, 呼出時間TEを平面に描出する diagram 上基本的に3つの型に大別することが出来た. 4例では換気量増大時にVTのみ増加しTI, TEともほとんど変化しない (A型), 6例ではTIはほとんど変化しないがTEの短縮が著しく, 呼吸数の増加原因となっている (B型). 10例ではVTの増加とTI, TEの短縮による呼吸数増加が換気量を増大させていた (C型). 全ての型でP0.1は平均吸気速度VT/TIと直線的に良く相関していた. C型の10例ではP0.1と1/T1の関係は一次回帰式で良好な相関関係を示した. これらの3つの呼吸パターンは今回の研究での対象者の範囲では体格, 呼吸換気力学の測定値と関連性はみられなかった. 呼吸のタイミング因子であるTI/TTOTはB型でのみ有意に変化した. 換気量が増大する時1回換気量は最大1秒量の50%まで増加した. その後は主に吸気時間が短縮して平均吸気速度VT/TIを増加させた. この結果P0.1は終始VT/TIと直線的関係を保つことになった. VTがFEV1.0の50%になる以前に effective compliance を計算すると184.0±78.9ml/cmH2Oであった. また effective impedance は7.24±3.02cmH2O/L/secであった. ここに挙げた新しい呼吸パターンの分類方法は呼吸調節の研究に重要な役割を演ずると考えられた.
  • 藤田 明, 長尾 啓一, 水谷 文雄, 岡田 修, 山岸 文雄, 渡辺 昌平
    1986 年 24 巻 11 号 p. 1275-1281
    発行日: 1986/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は42歳の女性で, 住民検診で胸部X線上左肺野の透過性亢進を指摘された. 気管支造影, 肺動脈造影, 血流スキャン, 換気スキャンの結果, Swyer-James 症候群と診断した. 血行動態の検討のめに右心カテーテル検査, 気管支動脈造影を施行した. 患側肺動脈血酸素分圧の上昇は認めず, 気管支動脈造影でも, 肺動脈は造影されず, 気管支動脈―肺動脈シャントの存在は確認できなかった. カルシュウム拮抗剤 nifedipine 投与後, 動脈血酸素分圧の低下と肺小動脈抵抗の相当な低下を認め, 患側肺血管は拡張し得ると考えられた. エロソル吸入シンチグラフィでは, 患側中枢気管支の粘液線毛輸送機構は保たれていることが示された. 血行動態を中心とした本症候群の病態生理について若干の文献的考察を加えた.
  • 河端 美則, 山村 淳平, 杉田 博宣, 和久 宗明, 小山 明, 岩井 和郎
    1986 年 24 巻 11 号 p. 1282-1287
    発行日: 1986/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    53歳女性. 検診で胸部X線上多発結節影を発見され, 無症状ながら精査のため入院した. 各種検査を行うも確定診断がつかず開胸肺生検が行なわれた. 組織学的に主として器質化性肺炎がみられたが, 同時に呼吸細気管支入口部の炎症性滲出物 (マッソン体) による閉塞もみられ, BOOPの像とも一致した. 術後抗生物質投与下陰影は消失した. 類似の症例が種々の疾患名で報告されているが, 日本語名として『特発性器質化性肺炎 (閉塞性細気管支炎を伴う)』なる病名を用いるのが良いと考えられた.
  • 三笠 桂一, 三上 理一郎, 澤木 政好, 伊藤 新作, 堅田 均, 春日 宏友, 塩谷 直久, 成田 亘啓
    1986 年 24 巻 11 号 p. 1288-1291
    発行日: 1986/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は, 34歳の男性. 発熱, 呼吸困難を主訴として発症. 胸部X線写真は正常であったが, 胸部聴診上 fine crackles を聴取し, Gaシンチで肺に強いびまん性の集積を認めた. TBLB, BALにて肉芽腫性過敏性肺臓炎の所見を認め, また病歴より加湿器使用との関係が疑われたところから, 加湿器を用いての吸入誘発試験を施行した結果, 陽性で, 加湿器と診断した.
  • 1986 年 24 巻 11 号 p. 1292-1297
    発行日: 1986/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
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