抄録
63歳女性. 肺の異常陰影を主訴に来院. 胸部X線所見では両側肺に瀰漫性の網状線状陰影が認められ, 他の検査所見では赤沈の亢進と肺機能でDLCOの低下がみられたのみで, M-bow などの血清学的異常が認められなかった. TBLBを行ったが, 確診はつかなかった. その後追跡していたが, 1年3月後 sick sinus syndrome を起こし, 他院でペースメーカー移植を行ったが, 難治性の心肺不全のため再入院. 各種治療にも反応せず死亡され, 剖検の結果, 原発性のAL型アミロイドーシスと診断された. このように, 呼吸器所見が主症状となるアミロイドーシスの症例は非常に稀で, 本邦では文献上まだ少数の報告しかない.