日本胸部疾患学会雑誌
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Salmonella enteritidis による膿血胸の1例
早瀬 満前田 直大大谷 信夫山道 昇
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1986 年 24 巻 4 号 p. 454-458

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抄録
サルモネラ症の大部分は腸管感染症としてみられ, 呼吸器感染症としては大変稀である. 今回, 私達は Salmonella enteritidis による膿血胸の1例を経験したので報告する. 患者は70歳, 男性で血痰, 全身倦怠感, 発熱を主訴として入院. 本菌を喀痰, 気管支洗條液, TTA, 十二指腸液, 糞便さらに切除標本より分離し切除標本の臨理診断では膿血胸であり, 経過中の本菌抗体価は320倍, 160倍と有意に高値であったため, 本菌による膿血胸と診断した. 治療はCP投与で一時症状の改善をみたが, 排菌, 血痰が持続し, 気管支造影により気管支・胸膜瘻の存在を認めたため, 右肺全摘術を施行した. 術後経過は順調で全検体で本菌は陰性となった. 本症は誤嚥により S. enteriti dis が右肺へ侵入し胸膜病変をもつ部位で持続感染を起こし膿血胸となったと考えられた. このような例は稀と思われ報告した.
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