日本胸部疾患学会雑誌
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肺胞洗浄によって高コレステロール血症の改善をみた肺胞蛋白症の1例
光定 誠工藤 翔二油谷 浩幸平山 雅清植竹 健司鈴木 俊雄木村 仁深山 正久小池 盛雄
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1986 年 24 巻 9 号 p. 1008-1012

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抄録
高コレステロール血症を伴い, 区域気管支肺胞洗浄期間に一致して, 血清LDH値, コレステロール値がほぼ併行して低下した肺胞蛋白症の1例を報告した. 症例は53歳, 女性. 昭和57年1月頃より夜間の乾性咳嗽が増強し, 労作時息切れを自覚, 胸部X線写真で両側下肺野に微細な斑状影を認め同年7月入院, 経気管支肺生検にて肺胞蛋白症と診断した. 気管支ファイバースコープ下に区域気管支肺胞洗浄を施行し, 自覚症状の改善をみたが検査成績に有意な変化はえられなかった. 患者は高コレステロール血症を伴っていたが, 洗浄期間に一致して血清LDH値, コレステロール値がほぼ併行して低下した. この成因について単球, マクロファージ系による scavenger pathway の関与と肺胞洗浄によるその活性化の可能性を推論した.
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