日本胸部疾患学会雑誌
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各種胸膜炎における胸水中腫瘍マーカー (CEA, TPA, ADA, Ferritin, β2マイクログロブリン, Sialic Acid) の臨床的意義
レシャード カレッド鈴木 清糸井 和美高橋 豊平田 敏樹八木 健佐藤 敦夫中野 豊
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1987 年 25 巻 11 号 p. 1174-1180

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抄録
胸水貯留の成因疾患の鑑別診断の1補助として, 胸水中のCEA, TPA, ADA, Ferritin, β2マイクログロブリンおよびシアル酸を, 原発性肺癌56例, 転移性腫瘍35例, 結核性胸膜炎49例, そして非結核性胸膜炎62例の計202例において測定検討し, 以下の結果を得た. 癌性胸膜炎における胸水中のCEAおよびTPA測定値は非癌性胸膜炎群と比べて, 有意に高値を示し, カットオフ値をCEAでは10.0ng/ml, TPAでは5,000U/Lに設定した場合, 良性悪性の鑑別の1補助手段となりうる. また原発性肺癌の組織型においては腺癌の平均値, 陽性率がともにより高値を示した. 一方, 結核性胸膜炎ではADAおよびβ2MGが高値を呈するとともに特異性の高いパラメーターと考えられた. 他方で胸水におけるフェリチンおよびシアル酸の陽性率は高いものの特異性の低いものであった. よって, 胸水貯留の成因疾患の鑑別においては, CEA, TPA, ADAおよびβ2MGの4つマーカーの combination assay が日常臨床において役立つものと思われた.
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© 日本呼吸器学会
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