抄録
完全アジュバントを静注し肺肉芽腫の発育 (湿重量および lung index) と血清 angiotensin-convertingenzyme (ACE) level の変動を検討した. 全体としては両者は相関が強く認められたが各々の兎では正の相関は認めるものの有意の相関を示さず他の要因があるものと推定された. そこで肺以外に胸郭内りンパ節 (肺門リンパ節, 縦隔リンパ節), 膝窩リンパ節, 脾臓, 肝臓について肉芽腫 (N) 発生, sinus histiocytosis (SH) の状態, 組織ACE活性の局在を検討した. その結果肺と異り胸郭内リンパ節や脾臓ではアジュバント静注21日目より肉芽腫形成, 14日目よりSHが著明となった. 膝窩リンパ節ではN (-), SHは著明となり深傍皮質に macrophage のビ慢性浸潤 (DI) が認められた. また組織ACE活性はN, SH, DIに強く認められた. 以上より血清ACE level の変動は肺と共に上記網内系諸臓器の変化とそこで産生分泌される組織ACEの総和を示しているものと考えられた.