抄録
慢性呼吸不全に伴う肺高血圧を軽減し, 以って右心機能を改善させるため, 血管拡張剤であるCa++拮抗剤 Nifedipine の及ぼす影響を安静時と運動負荷時に分けて, 酸素投与による影響との比較の下に検討した. 慢性呼吸不全10症例を対象として, 仰臥位にて Swan-Ganz thermodilution catheter 検査施行下に15~30 watt の constant load 法を用い, 室内空気呼吸下の安静時と運動負荷時を対照値とし, 酸素投与 (1~2L/min) 下と Nifedipine 舌下投与 (10mg) 下それぞれの安静時と運動負荷時の肺循環・血液ガス諸量を比較検討した. (1) Nifedipine は安静時・運動負荷時共に肺動脈平均圧, 全肺血管抵抗の有意低下, 及び心拍出係数・酸素運搬能の有意増加をきたし, かっPaO2・PvO2の悪化をもたらさなかった. (2) 酸素投与による影響と比較した場合, Nifedipine は安静時・運動負荷時共に全肺血管抵抗の有意低下・心拍出係数の有意増加を示し, 安静時の酸素運搬能も有意増加をみた.