抄録
肺結核を基礎疾患とする肺アスペルギローマ20例を検討した. 肺結核発症時, 結核菌排菌停止時, アスペルギローマ発症時, 死亡時 (8例) の平均年齢はそれぞれ43.0歳, 51.3歳, 55.3歳, 69.0歳であった. 75% (8例中6例) がアスペルギルスに対する過敏反応を示した. 発症時に84% (19例中16例) が抗結核剤を投与されていた. 胸部X線写真で観察すると, 空洞は菌塊出現前には硬化輪状空洞となり, 菌塊陰影出現に先行して肺の過膨張, 気胸, 空洞の拡大又は縮小や消失, 空洞内のび漫性陰影や鏡面像, 空洞壁の凹凸や突起様陰影などの所見が観察された. これらの所見は誘導気管支のチェックバルプ機転又は狭窄や閉塞, アスペルギルスの増殖又は出血や滲出液の貯留, 空洞壁又は胸膜の炎症反応や限局性増殖によるものと考えられる. 以上の結果から空洞に形成されるアスペルギローマは, (1) 気管支から空洞に気管支性播種するものと, (2) 空洞内で原発するものに分類した.