抄録
37歳の女性が呼吸困難感, 四肢の冷感, 頭痛, 易疲労感, 動悸を主訴に入院した. 臨床症状および慢性呼吸性アルカローシスを呈していたことより, 慢性型の過換気症候群であると考えられた. 2分間の過換気誘発試験後における終末呼気炭酸ガス分圧 (PETCO2) の回復速度の低下や呼吸モニター上の不規則かつため息の多い呼吸パターンが認められ, 本疾患に特有なものであると考えられた. メトプロロールの投与が本症例において, 自覚症状や血液ガス所見の改善に有効であった. メトプロロールとジアゼパム投与により, 過換気誘発試験における Beumer's index の陰性化やCO2-換気応答性の増加が観察された.