日本胸部疾患学会雑誌
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HTLV-1-associated myelopathy (HAM) における肺病変: 気管支肺胞洗浄液中のT細胞サブセットおよび遊離IL-2レセプターの検討
杉本 峯晴中嶋 博徳松本 充博河野 修今村 文哉安藤 正幸荒木 淑郎
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1989 年 27 巻 4 号 p. 481-487

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抄録
HTLV-1-associated myelopathy (HAM) における肺病変の発症機序を知る目的で, HAM患者13例を対象に気管支肺胞洗浄 (BAL) を行い, BAL液中の細胞および遊離IL-2レセプター (IL-2R) について検討した. HAM患者では健常対象およびHTLV-Iキャリアー (non-HAM) に比べ, 総細胞数の軽度増加とリンパ球比率の上昇が認められた. 増加したリンパ球は主としてT細胞であった. CD4+/CD8+比は4例で低下していたが, 残り9例では正常範囲にあった. 遊離IL-2Rは, HAMでは血清およびBAL液で増加していたが, 血清中に比べBAL液中で高い値を示し, 肺局所での産生が考えられた. また, BAL液中のIL-2RレベルはTリンパ球数およびCD4+細胞数と有意な正の相関が認められ, BAL液中のIL-2Rは肺で活性化されたT細胞に由来すると考えられた. 以上の成績から, HAMにおける肺病変の発症にはTリンパ球を中心とした免疫学的機序が重要な役割を演じていることが示唆された.
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