日本胸部疾患学会雑誌
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慢性呼吸不全患者の急性増悪時にみられる高アミラーゼ血症
李 廷謙長山 直弘川辺 芳子大塚 義郎町田 和子芳賀 敏彦
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1989 年 27 巻 4 号 p. 488-496

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抄録
最近6年間に当院に呼吸不全の急性増悪のために入院した129名 (増悪回数225回) の患者の増悪時における血清アミラーゼ値を調べた.唾液腺炎,腹膜炎,イレウスなどの高アミラーゼ血症を来し得る疾患を合併していた例は除外した. 急性増悪の原因を肺炎 (40回), 気管支炎 (95回),右心不全のみ (73回), 及びその他 (17回) に分け原因別に高アミラーゼ血症の出現頻度を調べた所, 肺炎群15回 (35.5%), 気管支炎群12回 (12.6%), 右心不全のみ及びその他の群0回 (0%) であった. 別に対照として呼吸不全を伴わない肺炎症例59名 (62回) を調べた所, 高アミラーゼ血症を呈したものは1例もなかった. 以上より呼吸不全に肺感染が加わると高アミラーゼ血症を呈しやすいことが分った. また高アミラーゼ血症の由来としては気管支・肺組織であることが推察された.
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