日本胸部疾患学会雑誌
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CTによる指標 (LL%w) を用いた肺気腫の鑑別診断
北原 義也高本 正祇丸山 正夫田中 靖石橋 凡雄篠田 厚
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1989 年 27 巻 6 号 p. 689-695

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抄録
X線CTから得られる定量的指標であるLL%w (肺野におけるCT値-950 Hounsfield unit 以下の占拠率, 最大呼気位) が, 慢性肺気腫と気管支喘息, 慢性気管支炎の鑑別に役立つか否かを検討した.
まず, LL%wの平均値 (±標準偏差) は, 慢性肺気腫群では24.6±20.2% (n=40) と高値であり, LL%w≦1% のものはなかった. 気管支喘息群では0.5±0.8% (n=27), 慢性気管支炎群では0.3±0.6% (n=14) と低値であり, 慢性肺気腫群と他群との間に, 明らかな差があった. 臨床的に気管支喘息や慢性気管支炎と診断されていて, なおかつLL%w>1% の場合は, 肺気腫の合併や著しい air trapping が存在するものと思われた. また, 上記の各群の中から, 一秒率の平均値がほぼ同じになるように選抜した症例群の比較でも, LL%wは慢性肺気腫と気管支喘息, 慢性気管支炎の鑑別に有用であった.
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