日本胸部疾患学会雑誌
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珪肺合併肺癌50症例の臨床病理学的研究
田代 隆良山崎 透永井 寛之山崎 仁志黒田 芳信重野 秀明後藤 純那須 勝長門 宏
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キーワード: 珪肺, 肺癌, 発癌機序
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1989 年 27 巻 7 号 p. 784-788

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抄録
トンネル掘削による珪肺に合併した原発性肺癌50例の臨床病理学的研究を行った. 組織型は扁平上皮癌29例, 小細胞癌10例, 腺癌6例, 大細胞癌4例, 腺扁平上皮癌1例であり, 扁平上皮癌と小細胞癌が多いことから吸入性発癌物質の関与が示唆された. 発生部位は上葉とS6に好発しており, 発癌と珪肺性線維化巣との関連も示唆された. 粉塵作業者は喫煙者が多く, 職場環境における polycyclic aromatic hydrocarbon (PAH) や他の微量の職業性発癌物質を吸入している可能性もあるため, これらが珪肺性線維化および慢性気道炎症によってクリアランス機構が低下した末梢気道局所に停滞, 沈着し, 発癌作用を現してくるものと推測された.
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