抄録
慢性低酸素血症下でテストステロン (T) の分泌が抑制されることに着目し, 睡眠時無呼吸に伴って, 夜間繰返される低酸素血症の影響がT分泌に与える影響を検討した. 鼾と肥満を主訴に受診した15名の男性患者を対象に, sleep study を施行した. 4%以上SaO2が低下した時間の総和をもとに, その時間が80分以下の1群 (n=7) と80分を越える2群 (n=8) に分け, 午後10時より4時間ごとに測定したTの日内リズムの相違を比較検討した. 1群のTのピーク値は午前6時に見られ, 2群のピーク値は午前10時に見られた. また午前10時のTの値を午前6時の値で除した比 (T10/T6) と睡眠中のSaO2低下に関する各パラメータとの相関を検討した結果, non REM 期および全睡眠時期における4%以上のSaO2低下の総和時間 (分) との間に有意相関を認めた. この相関図をもとに比が1以上であれば全睡眠時期における4%以上のSaOO2低下の総和時間が約80分以上であると推測できた.