日本胸部疾患学会雑誌
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肺胞蛋白症における肺胞マクロファージの機能と病態の関連性
岡野 昌彦佐藤 篤彦千田 金吾岩田 政敏安田 和雅志和 泉須田 隆文
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1990 年 28 巻 5 号 p. 723-728

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抄録
肺胞蛋白症 (PAP) 4症例について, 経気管支鏡下肺胞洗浄 (BAL) 前後のAMφ機能と病態の推移について検討した. BALは4~24週の間隔で7~13回施行した. BALの総細胞数は, 0.17~0.92×105/mlと減少しており, 細胞分画では, AMφの減少とリンパ球, 好酸球の増加を認めた. PAPのAMφ機能は, 貪食能が3~14%, NBT還元能が5%以下と低下していたが, BAL治療後は1例を除き, 貪食能は25~62%に, NBT還元能は15~35%に回復していた. BAL後の経過は, 2例が3年間再発を認めなかったが, AMφ機能の回復が不完全であった1例は1年後に再発し, 回復しなかった1例は, 肺結核を合併した上にPAPの増悪が認められ, 再発, 増悪したPAPのAMφ機能は低下し, 寛解していたPAPのAMφ機能は正常であった. 以上より, PAPの病態とAMφ機能は密接な関連性を有していると思われた.
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