抄録
間質性肺炎における small airway 閉塞を検討した. %VC<80%, FEV1%>70%を満たす間質性肺炎54例の肺機能諸量の相関解析から small airway の閉塞が無視出来ないと思われた. そこで%VCの減少がTLCの減少に基づくA群 (%TLC<80%, %RV<120%) とRVの増加に基づくB群 (%TLC>80%, %RV>120%) に分けると, 特発性間質性肺炎 (IIP) は前者に多く分類された. 肺機能上B群ではA群より肺実質の変化は軽く small airmay の閉塞が強かった. B群をIIPとそれ以外の群に分けると後者は肺気量が大で small airway の変化が強かった. さらにA, B両群のIIPを比較すると後者の方が肺実質の変化が弱い傾向が伺われた. これらの傾向に喫煙の影響はないと推測された. 以上よりIIPの一部に肺気量の減少が軽く small airway の変化が目立つ例があり, IIP以外の間質性肺炎でこの傾向が強いと思われた. さらに間質性肺炎では small airway の閉塞の程度が経時的に変ることが推測された.