日本胸部疾患学会雑誌
Online ISSN : 1883-471X
Print ISSN : 0301-1542
ISSN-L : 0301-1542
気管支喘息患者ラ音の伝播特性の解析
気管支狭窄による連続性ラ音との対比検討
長 澄人塩谷 直久成田 亘啓小山 泰弘渋谷 惇夫
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 29 巻 12 号 p. 1560-1568

詳細
抄録

気管支喘息患者の連続性ラ音を音響学的に解析し, その伝播特性について気管支狭窄による連続性ラ音と比較, 検討した. 気管支喘息患者の連続性ラ音はサウンドスペクトログラフの所見から monophonic tone と polyphonic tone の2つの pattern に分類できた. 前者は後者と比べて聴感上音量の左右差が明確であり気管支狭窄によるラ音との鑑別が困難であったが, コヒーレンス解析の結果から, 主として左右いずれかの肺内で発生して気管上頚部に極めてよく伝播していることが示唆された. また, polyphonic tone の場合は主たる音源が左右いずれの肺内にあるかを確定することは困難であったが, この場合も対側胸壁上よりも気管上頚部への伝播性の方が良い傾向が認められた. したがって, 気管支喘息患者の連続性ラ音の聴取部位として気管上頚部が非常に重要であることが確認された.

著者関連情報
© 日本呼吸器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top