日本胸部疾患学会雑誌
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Coaxial Bioassay 法を用いたヒト気管支における上皮依存性平滑筋収縮抑制の証明
相澤 久道井上 博雅高田 昇平古藤 洋池田 東吾広瀬 隆士
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キーワード: 気道上皮, 平滑筋, ヒト
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1991 年 29 巻 12 号 p. 1569-1573

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抄録

気道上皮細胞が気道平滑筋の収縮を抑制することは, ヒトを含む哺乳動物において報告されている. イヌやモルモットにおいては, この平滑筋収縮抑制は, Epithelium-derived relaxing factor を介している可能性が強いと報告されているが, ヒト気道では明らかではない. そこで, 今回我々は coaxial bioassay 法を用いて以下の検討を行った. 肺癌の手術症例10例より摘出した気管支を実験に用いた. 上皮を剥離した気管支片を acceptor tissue として donor tissue の気管支輪の中に懸垂し, 張力を測定した. acetylcholine (ACh) による収縮を測定した後, 気管支輪の上皮を擦過により剥離し, 再びAChによる収縮を測定した. donor の気管支輪の気道上皮を剥離することにより, acceptor の気管支切片の収縮は有意に増強した. これは, ヒト気管支においても気道上皮細胞が, 何らかの平滑筋収縮抑制作用を有することを示すものである.

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