1991 年 29 巻 12 号 p. 1591-1595
症例は66歳の女性. 胸部レ線像にて右肺門部に直径約2.5cmの類円形腫瘤影を認め, 精査目的に入院. 気管支鏡所見にて右B8周囲に壁外からの圧迫所見を認め, RI angio, Dynamic CT にて血管性病変が疑われた. 動脈造影にて気管支動脈の拡張蛇行とその末梢に動脈瘤が描出され, 右下葉切除が施行された. 病理所見にて動脈瘤壁に軽度の動脈硬化性変化を認めたが, 周囲の肺胞, 気管支には明らかな異常はなかった. 気管支動脈瘤は稀な疾患で現在まで26例の報告をみるにすぎない. 本症例は胸部レ線写真で発見された最初の例であり, 胸部異常陰影の鑑別診断の上でも貴重な症例と思われた.