日本胸部疾患学会雑誌
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抗糸球体基底膜抗体が陽性化したアレルギー性肉芽腫性血管炎の1例
益崎 裕章巖西 真規梅宮 正志美崎 幸平住友 伸一藤村 直樹加藤 幹夫日置 辰一朗金岡 正樹山本 隆一
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1991 年 29 巻 12 号 p. 1644-1650

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抄録

33歳の男性. 気管支喘息が先行した後, 急性経過で多発性関節痛, 貧血, 低酸素血症, 多発性単神経炎, 腎障害を発症した. 喀痰, 末梢血, 気管支肺胞洗浄液中の好酸球増多に加え, 喀痰には多数の担鉄マクロファージが出現した. 胸部X線上, びまん性のすりガラス状陰影を, 高分解能CTは, 肺野の濃度上昇と肺動脈の異常を示した. 症状悪化の為, 副腎皮質ステロイド薬 (以下ステロイド) を投与したところ, 劇的な改善が見られ, 陽性化していた抗糸球体基底膜抗体も速やかに消失した. 開胸肺生検にて, 肉芽腫と強い好酸球浸潤を伴った血管炎を, 骨髄生検では, 細胞密度が低いにもかかわらず強い好酸球増生が見られ, 骨髄好酸球増多による赤芽球低形成が急性貧血の主因と推測された. Goodpasture 症候群, 結節性多発動脈炎 (PN) をはじめとする種々の血管炎症候群との鑑別に苦慮したが, 病理組織学的にアレルギー性肉芽腫性血管炎と診断された. ステロイドは五ヵ月にわたり漸減し中止した. 再発の徴候は無く, 経過良好である.

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