抄録
骨髄移植 (以下BMT) に伴う肺の局所免疫の異常に関し, BMT前後におけるBALF細胞所見及びリンパ球サブセットを検討した. 対象は, BMT前後にBALの施行しえた9例 (BMT後肺合併症を認めなかったA群5例, 認めたB群4例). A群では, BMT前の細胞数・細胞分画・CD4/CD8比は, ほぼ正常であった. BMT後の細胞数・細胞分画にはほぼ変化がなかったが, CD4/CD8比は全例低下を認めた. 一方B群では, BMT前よりリンパ球比率の増加を認めた. BMT後もリンパ球比率は高く, 好中球比率の増加を認めた. CD4/CD8比は,BMT前は正常であったが,BMT後は様々であった. さらに, 二重染色を施行しえたA群3例とB群4例では, 両群ともBALF中CD4+細胞の低下はCD4+4B4+細胞が主体で, CD8+細胞には一定の傾向は見られなかった. A群では, BMT後CD4+HLA-DR+及びCD8+HLA-DR+細胞比率の増加を認めたが, B群では認めなかった. 以上より, BMTに伴い肺局所でも免疫系の異常を生じていることが示唆された.