抄録
暴露試験により確定診断しえた加湿器による過敏性肺臓炎の1例を経験したので報告する. 症例は58歳女性, 主婦. 乾性咳嗽, 労作時呼吸困難を主訴に近医にて投薬を受けたが症状の改善を認めず当科を受診した. 胸部X線写真, 呼吸機能検査などから間質性肺炎が疑われ, 入院後施行したBAL, TBLBおよび自宅の加湿器を用いた暴露試験により加湿器による過敏性肺臓炎 (加湿器肺) と診断した. 加湿器の水と患者血清との補体結合反応, 沈降抗体反応が陽性であった. また既知の抗原としては, Hollister-Stier 社製 Pigeon droppings extract, thermoactinomyces vulgaris extract との間に沈降反応がみられたが, 加湿器の水から培養された Flavobacterium meningosepticum についても両反応共に陽性であり, 同グラム陰性桿菌と本症発症との関与も示唆させれた.