日本胸部疾患学会雑誌
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肺放線菌症の3例
山洞 善恒杉田 裕兼子 耕生方 幹夫茂木 充高柳 昇
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1992 年 30 巻 10 号 p. 1869-1873

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抄録
肺放線菌症の3例を報告する. 症例1は33歳, 男性. 血痰を主訴とし, 右上葉に腫瘤状陰影を認めた. 外科的切除を施行し, 病理組織学的に本症と診断した. 症例2は41歳, 男性, 肺化膿症に対し経皮的吸引生検を施行, アクチノミセス属が培養させれた. 症例3は46歳, 男性. 肺化膿症を呈し, 喀痰中に硫黄顆粒が見られ本症と診断した. 基礎疾患として症例1, 3に糖尿病が認められた. う歯, 歯槽膿漏等の口腔内疾患は全例にみられ, 症例2, 3では大量飲酒の既往があることより, 口腔内に常在する放線菌の経気道的感染が想定された. 本症の治療はペニシリン剤の長期大量投与が推賞されているが, 症例2ではクリンダマイシンの, 症例3ではピペラシリンの投与が著効し, 線維化の軽度な早期の症例では抗生剤の長期大量投与は必ずしも必要ではないと考えられた.
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