抄録
Computed Tomography (以下CT) は間質性陰影の客観的評価には, 必ずしも有用と言えず, 現在臨床に活用されていない. そこで我々は, Thin slice CT による間質性陰影の客観的評価法を検討した. 間質性陰影を呈する37例と, 正常例13例を対象とした. 大動脈弓部, 気管分岐部下約2cm, および右横隔膜上約1cmの3つのレベルで Thin slice CT を撮影し, 左右計6ヵ所の全肺野を関心領域としてCT値を測定した. CT値を1,000~-900, -900~-750, -750~-500, -500~100の4つの帯域に分け, 各帯域の面積百分率と, 呼吸機能とを比較検討した. 間質性陰影を呈する症例では, 正常例に比べ-900から-750のCT値成分が少なく, -750よりプラス側の成分が多かった. また, 各帯域の面積百分率と, 肺気量および肺拡散能力との間に相関関係が認められた. Thin slice CT は, 間質性陰影の性状や広がりを客観的に評価する方法として有用であると考えられる.