日本胸部疾患学会雑誌
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農夫肺のX線分類とその背景因子との相関について
青山 洋二米谷 則美小西 一樹田村 昌士野辺地 篤郎
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1992 年 30 巻 4 号 p. 571-576

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抄録

過敏性肺炎の病期, 重症度あるいは予後を推定する目的で当科における農夫肺症例を胸部X線パターンにより5型に分類し, 各群間で背景因子の相関について検討した. 各群間で有意差を認めた項目は, 微細粒状陰影を呈するI型にリンパ球比率が高く (p<0.01), また境界不鮮明斑状陰影を呈するV型では他型に比し, 白血球, CRPの高値, 動脈血酸素分圧の低下を認めた. しかし, 粒状陰影, 輪状陰影, 不規則紋理などの複合パターンを呈するII, III, IV型では明らかな有意差を認める項目はなかった. 以上の結果から, I型, V型はそれぞれ急性例, 劇症例と一致するものであったが, 慢性型に予想される拘束性障害, 拡散障害および病理組織所見には各群間で有意差は認められず, 今回のX線分類では病期, 重症度および予後に関し, 推定できるものは一部の症例にとどまった.

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