1992 年 30 巻 4 号 p. 577-584
慢性肺疾患, 睡眠時無呼吸症候群などでは夜間に動脈血酸素飽和度の低下が起こることが知られている. これが, 自覚症状, 検査所見にどのように反映されているかを知る目的で, 睡眠時無呼吸症候群25例 (以下I群), 睡眠時無呼吸を伴わず夜間 desaturation をきたす慢性肺疾患22例 (以下II群) を対象に検討を行った. 自覚症状に関しては, I群では夜間 desaturation と関係が認められなかったが, II群では日中の頭重感, 夜間の息苦しさなどと夜間 desaturation とは関係が認められた. Hb値, 覚醒時の平均肺動脈圧値に関してはいずれの群でも夜間 desaturation とは関係が認められなかった. 覚醒時動脈血ガスに関しては, I群では覚醒時のPaO2と夜間 desaturation とは相関関係が認められなかったが, II群では相関関係が認められた. 覚醒時のPaCO2と夜間 desaturation はI群, II群ともに相関関係が認められた. このことは, I群では覚醒時PaCO2により, II群では自覚症状, 覚醒時PaO2, PaCO2などから夜間 desaturation の程度を推測できることを示している.